神安藤人的怠惰ナ日常

人物紹介
  • 神安 フジヒト(カミヤス フジヒト)…筆者。黒使いにして核に魅了された男。
    もはや、「核の衝撃」無しにはデッキを構築できないヘタレ。
    得意ワザ:「じゃあ、核」
  • 佐藤 美輝(サトウ ミキ)…家名同盟最強の白使いにして、本部長。
    人に「そのデッキ、キワいわー」と言われる事を日々望む自虐キャラ。
    得意ワザ:「も、俺ガンダムウォーあかんわ」
  • ガルマ…別称tama。家名同盟のマスコットにして、美輝の通い妻。
    プロフィールだけみると女性みたいだが、もちろん男。緑よりはナオチカが好き。
    得意ワザ:「今そんな気分やない」
  • 五支持…本名は五飛支持者。神安の元同僚にして、現在は夜に生きる闇の男。
    黒かったり茶色だったり白だったり。本当は茶色が好きらしい。
    得意ワザ:「それ、ズッコイわー」
今後、登場人物が増えるかも。
がんだむうぉーのハマリ方
電話のベルは常に唐突に鳴る

 よく三文小説で、『そのとき、唐突に電話のベルが鳴り響いた』なんて言い回しをするが、アレはおかしい。電話のベルは、常に唐突に鳴るものなのだ。仮に、ベルが鳴る前に『今から電話が鳴りますよ』なんて電話が言い出すとしても、それだって唐突に言い出すものだ。
 つまり、何が言いたかったのかというと、何事も、最初は何の予兆も無く唐突にやってくるものなのだ、ということ。予期するのは無理だけど、何が起ころうとも大丈夫な状態にしておくのが望ましいということだ。
 まぁ、無理な話だが。

 金曜の夜中、爆笑オンエアバトル(※1)を見ようとしていた時、その電話は唐突に鳴った。正確に言うと、着信を示す着信メロディが携帯電話から流れ出した。すでに時代遅れとなってしまった、『カウボーイビバップ』(※2)のエンディングテーマ、『Tank!』は佐藤美紀からの電話を示すものだ。この着信メロディ、彼専用のものではないが、この時間に電話をかけてくるのは美紀以外には考えられない。(※3)俺は嫌な予感を胸にして、イントロが終了する直前に電話を取った。
「ひま?」
 突然用件とも言い難い単語から切り出してくるのは、家名同盟者であることの証だ。俺は苦笑しながら答えた。
「今はヒマだけど、明日は昼から用事があるんだわ。でも、まぁやるなら行くー」
  いつものやり取りである。俺を誘う気があるのか無いのか、なんと言おうとも俺が美紀の家に行くのがわかっているのか。美紀はいつも『いつ、どこで、誰と、何を、どうするのか』正確な情報を前段階で言おうとしない。もっとも、『今から、同盟員(※4)と、カードゲームを、やり倒す』のは周知の事実なのだが……。
 しかし、美紀が次に発した言葉が俺を愕然とさせることになる。
「そっかー。ところで、神安は大会どうするの?」
 は?
 大会というのは何ですか?
 いつ、どこで、何の大会が開かれるのですか?
「ほら、なんで最近ハイランダー(※5)がはやってたと思ってるのさ?」
 ……趣味では?
「聞いてなかったっけ?」
 ……まったく持って初耳ですが?
「まぁ、ともかく話は着てからやな。じゃ、そういうことで」
 かかってきたときと同じように、電話は唐突に切れてしまった。部屋では、若手芸人の面白くも無いコントだけがいつもと変わらない日常を匂わせている。
 大会? ハイランダー?

 まったく、電話のベルはいつも唐突に鳴る。そして、厄介事が舞い込んでくるのも、いつも唐突なのだ。厄介事は『今から行きますよ』なんて言ってはくれない。
 わかってはいる。わかってはいるのだが、しかし……。

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解説
※1 爆笑オンエアバトル:毎週金曜の夜は欠かさず見たいのだが、美紀からの電話でいつも見れない。え? 金曜の晩になんで毎週美紀と遊んでいるのかって? ……味噌汁で顔を洗って出直してきなさい。
※2 カウボーイビバップ:大分古いけど、今でも好きなアニメのひとつ。今思えば、これって俺が大学にいたころのアニメなんだよな……。
※3 この時間に〜:友達が少ないわけではない。決して。
※4 同盟員:ここでの同盟員とは、佐藤美紀、ガルマ、五支持者の本部同盟員を指す。まれに、神戸支部からの出張もあるが、この際ももちろん俺に知らされることは無い。
※5 ハイランダー:Gを除く全てのカードがデッキ一枚制限になるという特別ルール。白という色は、常にこのルールのハンデを背負っている。
当時はこの大会があるということで、同盟内でもハイランダーが流行っていたりした。
深夜の戦い

深夜から早朝という時間帯は、不思議なことが起こり得るものだ。月の光か、夜の闇か。何らかの効果で、我々は須らく別世界へと誘われ、そこで不可思議な体験をする。
それが、良きに付け、悪きに付け。

朝五時。
美紀邸。
参加者、美紀、ガルマ、五支持、神安。
なぜだろう。
なぜ、眠気をこらえてまで、地獄のロードを行かねばならぬのだろう。
四時から五時の間に、まず美紀が寝てしまう。眠いのもあるのだろうが、ガルマをゲーム要員(※1)にしてしまっているせいで、五支持VS神安、ガルマVSゲームの構図が完成する。そうなると、遊び相手のいない美紀は一人で黙々とキワいデッキ(※2)を作り出す事になる。最初は「こりゃ無いわー」「アカンって、俺」等と自己主張をするものも、だんだんと静かになっていき、最後には窓際の風邪確定スポット(※3)で眠りに堕ちていく。
まず、一人。
次は五支持。果てしないデュエルの中で精神を使い果たし、神安が一服している間に熟睡。帰らぬ人となる。そして、二人。
幸せそうに眠るその顔が恨めしい。せめて、一言。「がんばれよ」と言って欲しかった。
こうなるともう、我慢比べである。俺とガルマの一騎討ち。負けた方は勝者の勝ち名乗りを聞くことも無く。やすらかな眠りにつく。勝った方は誰にもその高揚を伝えることもできず、やりきれない時間を送る事になる。
それでも、我々は勝利の為に勝利を求め、孤独な栄光の為に至福の睡眠を切り捨てる。
ゲームをすることもあれば、ガンダムウォーをすることもある。ベルセルクの時もあれば、煙草を吸う時もあるだろう。しかし、いずれにせよ、相手より先に眠ることは許されない。
お互いの意思が合致し、同時に「そろそろ寝ようか」光線(※4)を発しない限り、この戦いは誰かが起きるまで続けられる。果てしなく、永遠とも思える戦い。苦痛には感じないが、戦いが終り、勝利してしまった時には孤独と強烈な睡眠欲に襲われるのは明白だ。
六時、七時、八時……。時は刻まれ、体力と精神力が削られていく。
美紀が起きる頃、ガルマは静かな眠りにつくのだろう。そして、神安は美紀の相手をする義務が発生するのだ。
嗚呼、また眠れない休日(※5)がやってくる……。

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解説
※1 ゲーム要員:サイバーフォーミュラの資金集めだったり、ドラッグオンドラグーンの武器集めだったり。アンリミテッドサガのクエスト進行は見ていてかわいそうなので何とかしてやってください。
※2 キワいデッキ:なんだか、本当にキワイ。その割に、しっかり神安の「ジェリドと愉快な仲間達デッキ」や「黒茶ノンユニットデッキ」といった自信作を簡単に破ってくれる。結構自信なくなります。
※3 風邪確定スポット:南側、ベランダに繋がる窓の前。ここで寝ることで、美紀は今年三回は風邪を引いている。いいかげん、別のところで寝ようとか考えた方が良いと思います。
※4 「そろそろ寝ようか」光線:女の子と二人きりなら喜んで発射するが、男同士で発射するのは結構、嫌。「寝る」の意味すら違う。
※5 眠れない休日:ここ数ヶ月、休日ってまともに寝てない。仕事で平日も寝てないのだから、せめて休日くらい静かに寝たいのだが。

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